ウクライナで戦争が起こるのも怖いが
完全に心停止している患者の
ECMOがいつ血栓で詰まってもおかしくないのが
何よりも怖いと思っている
"よりみち外科医"です。
>横になりながらシュミレーション中
私のプロフィールについては以下をご参照ください。
https://yoriste.com/profile/
あなたは季節柄で
まさに今忙しい分野の仕事はありますか?
冬は血管病の季節です。
私たち心臓血管外科が
治療している急性疾患の中でも
特に多いのは
急性大動脈解離です。
まさに今急増していて
大変な状態になっている
急性大動脈解離について
記事にしました。
<寒いと増える大動脈解離>
気温が急激に下がると、
血管が収縮することなどにより
血圧が上昇したり、
血流が流れにくくなったりします。
こんな状況下で発症しがちな疾患が、
脳出血や脳梗塞、
心筋梗塞や下肢動脈閉塞、
そして急性大動脈解離です。
急性大動脈解離は
高血圧の患者や
遺伝的に大動脈が弱い患者に
発症しやすい疾患ですが、
気温の低下により血圧の上昇が急激になると
さらに発症しやすくなることで知られています。
<辿り着くまでが第一のハードル>
急性大動脈解離は
突然死にもつながる
非常に危険な疾患です。
手術まで到達すれば
9割がた救命できるとも言われますが、
まず病院に到達する前になくなったり、
手術室に到達する前に心停止してしまったりします。
とにかく手術まで到達することが
まず第一のハードルと言えます。
先ほど9割がた救命できると言いましたが、
これはあくまで手術が完了したということを意味しており、
命はあっても麻痺が残ったり、
意識が回復せずに植物状態になってしまった人も
含まれての数になります。
<大手術とコロナウイルス>
最近の急患手術で非常に困るのが、
コロナウイルスがらみの病歴です。
連日のニュースでもある通り、
感染患者はすでに全国に広がっており、
濃厚接触者を含めると
当たり前のように市中に溢れています。
職場でクラスターが発生していた患者が
急患手術の適応となった場合、
PCR検査が陰性であっても
厳重な管理をする必要があります。
例えば、
防具やN95マスクを着用して
手術を行うなどです。
ただでさえ長時間の手術になり、
身体的な負荷が強い大手術にも関わらず、
いつもと違う装いで手術をするのは
非常にストレスが強い業務なります。
<術後管理も今まで通りに行かない>
コロナウイルス感染症の疑いが
完全に晴れない患者は
術後の管理も特殊です。
病室は陰圧で
出入りをするためには
ガウンやキャップ、手袋を
装着しなければなりません。
ドレーンのミルキングをしたり、
患者の意識の確認や所見を取ったり、
薬を確認したりするためには
毎回それらを脱ぎ着して
手間が取られます。
いつも通りの管理がうまくできないので
私たち心臓外科医としても
何か見落としているものがないか
不安になっています。
コロナウイルスの影響は
このように通常の業務を複雑化し
たくさんの落とし穴ができています。
いつか大事故になるのではないかと
ヒヤヒヤしながら
コロナ対策と術後管理を
同時並行でしている今日この頃です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
こちらのメインページにも遊びに来てください。
→よりみち外科医のstep up note | 回り道でもupdate!!
外科医の日常をつぶやきつつ
少しでもお役に立てる情報を発信していきます。
ひとやすみ、ひとやすみ。